もくもくよむおばけ

おばけのもくよむがもくもく読んだ本を記録します

読了リスト

読了し、感想をまだ書いていない本のリストです。
随時更新します。

読了した本
6/3「おしゃべり森のものがたり」小手鞠るい(フレーベル館)
6/4「珈琲牛乳」白坂愛(金の星社)
6/6「よるの美容院」市川朔久子(講談社)
6/14「みつばちと少年」村上しいこ(講談社)

読んでいる本
「キャラメル色のわたし」シャロン・M・ドレイパー/横山和江 訳(すずき出版)

次に読む本(再読含む)
「こそあどの森のおとなたちが子どもだったころ」岡田淳(理論社)
「月にハミング」マイケル・モーパーゴ/杉田七重 訳(小学館)
「盆まねき」富安陽子(偕成社)
「なんでも魔女商会21おきゃくさまはルルとララ」あんびるやすこ(岩崎書店)

夜の小学校で(再読了)

岡田淳さんの作品は「ととのう」な~
「ととのう」は近頃話題のサウナーさんたちの使う有名なサウナ用語のひとつであり、SAUNA TIME(https://saunatime.jp/ 最終閲覧日:2021年6月12日)内のサウナwikiで意味を調べると「サウナ、水風呂、休憩を何度か繰り返すことにより、心身が完璧に調和された状態。」とあり、「五感が冴える、疲労が取れる、雑念が消えるなど様々な効果」があるそうですが、岡田淳さんの作品を読み終わると同じような効果を感じます。(あくまで個人の感想です)

「夜の小学校で」は、桜若葉小学校の夜警の仕事をすることになった主人公は、夜の小学校で出会う不思議な出来事を夜警日誌にまとめています。その出来事を綴った短編集です。

夜の学校に入ったことはありますか?
わたしは高校生の時に、部活の合宿で学校に宿泊し、夜に肝試しといって、一番上の階の端にある音楽室まで行ってくるというのをしたことがあります。もちろん先生に許可を取りましたよ。
見慣れた学校も昼間とは違って、夏なのにひんやりとして薄暗く、非常口を示すランプだけが緑色に光って気味が悪く怖い怖いと数人で固まって歩いたのを覚えています。

ところが、この物語ではそういう怖さはあまり感じません。それどころか、桜若葉小学校に行ってみたいな、夜の小学校で不思議な体験をしてみたいなと思ってしまいます。

わたしが一番気に入ったのは「笑いっ子」です。夜の小学校でこどもの笑い声がする。その正体は。「笑いっ子」の章を読み終えると、なんとも切なくてあたたかく幸せな気持ちになりました。

そして最終章のひとつ手前の「図書室」。
夜の桜若葉小学校に行かずとも、本好き、読書好きな人ならばこの感覚を体験したことがあるのではないでしょうか。
読書の時間に「読みたい本がない」と困っている人も恐れずに扉をノックして飛び込んでみたら…と思います。違う部屋に入ってしまったら「失礼しました!」と出てしまってもいいと思います。そのときは違うと思った光景も次の日には、来週には、もしかしたら数年後に「あのときの部屋にもう一度入ってみたい」と思うかもしれません。そのときに部屋の住人は「あのとき出ていったのに!」なんて冷たい態度はとらずに歓迎してくれると思います。

何度も通いたくなる部屋もあると思いますし、何度も通った部屋なのに行くたびに違うものを見つけることもあります。また、自分がこどもの頃に入った部屋に今度は小さなこどもを連れて久しぶりに入ることもあるでしょう。

そんな「図書室」の章を経ての最終章「夜の小学校で」は青年の夜警員としての最後の夜の出来事です。最後の夜に一体どんなことが起こるでしょうか。

*ブックトークや展示をするなら作品内に出てくる「ドリトル先生航海記」や「ブレーメンのおんがくたい」を紹介したりいっしょに展示してもいいかもしれません

「夜の小学校で」岡田淳
偕成社
ISBN 9784036460601

https://www.kaiseisha.co.jp/books/9784036460601